19134  恋唄   T 
□sakura 2007/05/25(Fri) 

ヴヴヴ・・・ヴヴヴ・・・ サイドテーブルの上で携帯が震えている。 ベッドの中から手を伸ばす。 1回・・・2回・・・空振りをして3回目にようやく到達した。 「もし・・・。」 『あたし、さやか。やっぱりまだ寝てたんだ』 「ん・・・。なに?」 『菜、今日学校来ないと本当にやばいよ。昨日福田が言ってたもん』 フクダ・・・2年からの担任の名前だと分かるまで少しかかった。 「分かった。今日は行く。ありがと。」 『来るなら一緒にお弁当・・・』 さやかの言葉の途中で電話を切った。 白い腕が腰の辺りに伸びてきた。 サエキさんが起きた。 「何?朝から仕事?」 枕に顔を埋めたままで気だるそうに聞いてくる。 「起こしてすみません。ああ、いえ・・・友人です。」 「今から行かなくちゃいけないの?」 「ええ、つまらない用なんですが・・・。」 腰に置かれた手がゆっくりと腿を伝う。 「もう少しゆっくり出来ると思ったのに。」 「いいですよ。サエキさんさえよろしければお付き合いします。」 サエキさんが枕から顔を上げ、薄く微笑んだ。 「いいの?嬉しいわ、サイ・・・。」 もう一度ベッドにもぐりながら唇を重ねる。 唇を離し、更に奥へもぐりこみ、サエキさんの両脚を捕らえる。 「あっ、そんな、いきなりなんて・・・っ」 「サエキさん、まだ完全に起きてないみたいだし・・・。」 鼻先でヘアを分け、突起したつぼみをついばむ。 「んっあっ・・・・あん・・・」 舌先を硬くして弾く。 もうその下の泉は溢れ始めた。 サエキさんは荒っぽく吸われるのが好き。 音を立てて吸ってやる。 ジュルルルッ・・・・ 「あっあっ!いいわ・・・熱くなってきちゃう・・っ」 今度は舌全体で舐めあげる。 彼女の愛液を彼女自身に満遍なく塗りつけるように。 ペチャペチャペチャ・・・・ 「ふうぅん・・・ん・・・あふぅん・・・」 サエキさんの両手が私の頭をまさぐる。 それを合図に、2本の指を差し入れる。 グチュゥッ・・・・ 指の腹で上部を擦りながら、尚もつぼみを苛めてやる。 「んっあっうぅっ・・・ああああっ・・・」 腿で私の頭を締め付ける。 「イキそうっ・・・・」 ジュポッ・・・ 「あっ、どうして抜くの?いやっ・・・やめないでっ」 シーツから顔だけを出し、愛液で濡れた唇を重ねる。 「ねっねぇ・・・やめないで。イキそうなの・・・お願い。」 「だめですよ・・・もっと味あわせてください。」 乳首を口に含み、舌で転がしながら熱くなったつぼみを諌めるように撫でてやる。 「ああ・・・ん・・・いじわる・・・ひどいわ、サイ・・・。」 今イカれちゃうと【延長】してもらえなくなるじゃない。  私はチラッとサイドテーブルの時計に目をやり、つぼみを撫でている指の速度を更に遅くした。 サエキさんっていくつなのかなぁ。 たまにこうして【泊まり】にするけど、何の仕事してんだろう・・・。 私は腹に舌を這わせながら、4回目の【指名】をしてくれたサエキさんの素性を考えていた。 安達 菜 18歳 都内の私立女子高に通う。 会員制の女性専用デートクラブ指名1。
■恋唄   U □sakura (2008/08/07(Thu) 22:24:32) 教室のドアを開けると懐かしい匂い。 汗とシャンプーと制汗スプレーの、女子の匂い。 「菜、やっと来た!」 懐かしいさやかの声・・・いや、今朝電話で聞いたっけ・・・。 「おはよ。」 「もうお昼ですけど。」 ちょっと拗ねた様に言い、さやかは続けた。 「福田の所に行っておいで。卒業できなくなっちゃうよ。」 それはない。 うちの親からいつも、結構な『ご挨拶』を受け取っているはずだ。 この学校は、事件を起こしさえしなければ、短大まで楽に進める。 だから選んだのだ。うちの親は。 まぁ、そうは言っても顔だけでも見せておこう。 「うん。ありがと。」 「お昼一緒に食べない?私まだなんだけど。」 「んー・・・、食欲無くってさ。」 ある訳が無い。 さっきまで『お客』と寝ていたのだから。 「そう・・・。」 きっと、私が来るのを待っていたんだろう。 寂しげな顔になる。 雨に濡れた子犬のような・・・。 「牛乳だけでも付き合おうかな。」 弱いのだ。子犬の目に。 食事の間中、さやかはずっと喋りっぱなしだった。 クラスメイトが合コンで持ち帰りされたことや 英語の教師が実はヅラだったこと いつの間にか体育祭が終わっていたこと・・・ 話に相槌をうちながら分かった事が二つ。 学校をサボっている間に季節が変わった事と さやかが私に惚れている事。 喋りながら、私と目が合うたびに耳が赤くなっていく。 そんなさやかが、少女らしくて眩しい。 私には一欠けらも残っていない『らしさ』 可愛い友達だけど、あくまで友達。 私は誰も好きにならない。 体は誰のものにでもなるけど・・・。 ヴヴヴ・・・ヴヴヴ・・・ ポケットが震え始めた。 仕事だ・・・
■恋唄   V □sakura (2008/08/07(Thu) 22:53:41) 都内のホテルの一室。 呼鈴を押すと、まもなくドアが開いた。 清楚で上品な女性。 年齢は・・・30代半ばくらいかな。 正直、驚いた。 大体私の所属するクラブを利用するお客様は金持ちの40代後半。 ホスト遊びにも飽きてしまった、有閑マダムばかりだったから。 「はじめまして、サイです。お会いできて嬉しいです。」 「あ・・・よろしくお願いします。美佐子です・・・。」 『サイ?タニグチ様からご指名いただいたの。』 「分かりました。いつものSホテルでいいですか?」 『それが、お友達を紹介していただいたのよ。宜しくね』 タニグチ様は、私がこのクラブに入ってから、ずっとひいきにしてくれているお得意様だ。 噂では、もう引退した大物政治家の愛人らしい。 今までにも、何人かのお友達を紹介してくれ、みんなお得意様になってくれた。 それにしても、タニグチ様とはちょっと種類の違う女性だけど・・・。 「驚きました。」 美佐子さんの方から、そんな言葉が出た。 「そうですか?」 「ええ。てっきり、まん丸なおじいさんが来ると思っていたので・・・」 美佐子さんは、自分の思い込みに少し照れたようにクスクス笑いながら話している。 「まん丸な・・・お、おじいさん?」 何を言っているのか理解できない。 うちのクラブは、女性専用の、女性による、しかも高級なデートクラブだ。 まん丸も、おじいさんも、絶対に有り得ない! 「な・・・何のことですか?」 「私ったら勝手に、マッサージはまん丸なおじいさんがするものと決め付けていて・・・」 マッサージ・・・??? 「おじいさんのマッサージとは言っても、やっぱり体を触られるものだから緊張してたんです。勝手に。だから・・・ごめんなさいね。」 美佐子さんは、勝手な緊張の糸が切れたのか、またクスクス笑い始めた。 「タ、タニグチ様からのご紹介ですよね・・・?どういったお話をしてらっしゃいました?」 「ええっと、最近の私が、何だか落ち込んでて、元気がなさそうだからって、とっても気持ちよくなれるわよって。とっても優しい方なんです。」 「あ・・・詳しい事はお聞きになられました?」 「いえ、それだけです。ちょっと悩み事があったりしたものだから、心配してくれたのね、きっと。」 「そうですか・・・ちょ、ちょっと失礼します。」 廊下に出て、すぐにタニグチ様に電話した。 本当は、お客様と直接連絡を取ってはいけない規則だけど、私とタニグチ様は特別なのだ。 クラブも、上得意だから大目に見てくれている。 『どうしたの、サイ。今日は美佐子さんのお世話してるんじゃないの?』 「そうなんですが、どうもうちのクラブの事をご理解していないようで・・・」 『彼女って世間知らずなのよ。だから詳しい事言うと絶対拒否すると思ってね。フフフ』 「フフフ・・・じゃないですよ。どうしたらいいんですか?」 『どうしたっていいわよ。彼女の日常を忘れさせてあげて。別にクラブのことが分かったって、私は構わないから。それじゃあね』 一方的に電話は切れた。 仕方なく、私は部屋に戻った。 そこには不安そうな目をして、美佐子さんが待っていた。 守ってあげたくなるような目だった。
■21052 / 恋唄   W □投稿者/ sakura (2008/08/07(Thu) 23:15:59) 「あの・・・私・・・何か・・・?」 申し訳なさそうに美佐子さんが聞いた。 「いえ、あの・・・。マッサージと言うか・・・。こちらに座っていただけますか?」 私はベッドを指した。 相手が女性だからなのか、何の疑いも無く、美佐子さんは素直に座った。 私も隣に座り、美佐子さんの両手を握った。 「マッサージといっても、ハンドマッサージしか出来ません。それでもいいでしょうか・・・?」 「あ、ごめんなさい。私が勝手にマッサージだなんて勘違いしてて、本当にごめんなさい。」 「いえ。あ・・・結構心配事が多いですか・・・?」 手を握ると、何となくその人が分かる。 ベッドの相手をしていても、その人のツボが何となく分かる。 指名が多い理由のひとつ。 「は、はい・・・。」 「きっとお優しい方なんですね。誰かの事をこれだけ気にかけることができるのは・・・。」 「優しいんじゃなく、心配性なんです。だから・・・ちょっと鬱陶しいのかな・・・。」 「そんな事ないですよ。あなたはきっと、自分の事を責めすぎるんでしょう・・・。」 「・・・。」 「あなたの思いは、いつか必ず伝わります。もっとご自分の事も思いやってあげないとダメですよ。」 どこかの占い師のような言葉が、次々に出てくる。 クラブを利用する人は、体ばかりじゃなく、心も癒されたい人たちばかりなのだ。 ポロッと美佐子さんの目から涙がこぼれた。 「ちょっとだけ・・・ごめんなさい・・・。」 美佐子さんは握っていた両手で顔を覆った。 小刻みに震える肩を見ていると、抱きしめずにはいられなくなった。 「大丈夫。大丈夫です。泣いていいんです。我慢しないで。」 堰を切ったように美佐子さんは泣き始めた。 私が男だったら、そのまま美佐子さんの唇を塞ぎ、ゆっくりとベッドに引きずり込んだかもしれない。 いや、男でなくても、普段の私ならそうしたかもしれない。 でも今日は違う。 美佐子さんは違う。 そのまま優しく抱いて、いつまでも背中をポンポンしていてあげたいと思った。
■21053 / 恋唄   X □投稿者/ sakura (2008/08/07(Thu) 23:42:01) どれくらい時間がたったのだろうか。 いつもの私なら、仕事中は必ず時計に目をやるんだけど。 肩の震えがおさまり、ゆっくりと美佐子さんが顔をあげた。 「ごめんなさいね。本当に・・・。やだ、私ひどい顔してるでしょう?」 「ひどい顔です。本当に。」 「ひどっ。サイさんって優しいのか優しくないのか、分からないわね。」 そう言って二人で笑った。 結局、30分くらい泣き続けていたらしく、最初のやり取りを含め、90分標準コースの残り時間は、あとわずかになっていた。 そのわずかの間に、美佐子さんの心配事を聞いた。 もうすぐ18歳の娘がいること。 その娘が最近隠し事をしているみたいで、母親を避けるようになった事。 夫は忙しい人で、娘の教育などは全部まかせっきりで、家庭の事には無関心な事。 自分ばかりがいつも気を揉んで、孤独感を味わっていた事。 結局娘の心配ばかりで、少し世間知らずだから、他の母親よりもうろたえる事が多いのだろう。 「あっ、もう時間ね。話を聞いてもらって、本当にすっきりしたわ。谷口さんの言ったとおり、来てよかった。」 「ほとんどお役に立ってないですけど・・・。」 「お金はサイさんにお渡しすればいいのかしら?」 「あ・・・料金はいいです。本当に何もしていないので。」 手を揉んで、話を聞いただけで3万は高いよ。 もう、指名も期待できないし、今回は自分で背負うつもりだった。 「そんな、だめです。いくらお礼を言っても足りないくらいなの。また、こうして会ってもらいたいし、ちゃんと受け取ってください。」 そう言って、美佐子さんは白い封筒を渡した。 本当に世間知らずなのだ・・・。 温厚そうにみえて、美佐子さんはがんとして譲らなかったので、私はしぶしぶお金を受け取った。 善人を騙しているみたいで、いい気はしなかった。 花がこぼれるように笑う美佐子さんと別れ、クラブに顔を出した。 「サイ、どうだった?指名取れそう?」 マネージャーがパソコンの画面を見つめたままで聞いてきた。 「あー・・・。んー・・・。どうでしょう。」 驚いて、やっと私に顔を向けた。 「珍しいわね、いっつも自信たっぷりなのに。」 「何となく、他のお客様と違う雰囲気で・・・。」 「ハードなお客様だった?」 「いえ、全然・・・正反対で・・・」 「あんまりセックスに慣れてないのかしら?でも、そういう人が悦びを知っちゃうと狂っちゃうからねぇ。」 だから違うんだっつーの。 帰ろうとした私の背中に、マネージャーが言った。 「お客様との恋愛は厳禁だからね。」 「もちろんですよ、マネージャー。」 振り向いて、パソコンの画面に向かっているマネージャーの背中に中指を立てた。 何だか気持ちが晴れず、さやかに電話して善人を騙した金で遊んだ。
■恋唄   Y □sakura (2008/08/12(Tue) 22:49:25) 「もっと、もっと泣き喚きなさい!」 「うっ・・うぐぅっ・・・!!」 激しく後ろから突き上げられ、思わず本気の呻き声をあげた。 「どんな色目使って主人を誘惑したのっ、この泥棒ネコ!!」 髪を鷲掴みにされ、背中をそらされると、ますます奥深くめり込んでゆく。 「あっああっ、ごめんなさい・・・許してくださいぃ・・・」 「こんなことされても感じてるんだろっ、この淫乱女ぁ!!」 サクライさんは私の尻に爪を立て、更に激しく腰を打ちつけた。 もうすぐ50歳に手が届きそうなのに、どこにこんな体力があるんだろう・・・ 私はバックから責められながら、女性の計り知れないパワーというものに感心すらしていた。 激しさが緩み、速度が遅くなったり、早くなったり、かき回してみたり・・・ さっきまでの罵声も途絶え、代わりに荒い息遣いになり始めた。 「はっはっはぁっ・・・んっんん・・・い、いいわ・・・いいのぉ・・・っ」 今度は私が責める番だ。 「奥様・・・私も・・・我慢できません・・・。」 するっとサクライさんの手から抜け出し、体の向きを変えて抱きしめた。 「あぁ・・・お願い・・・もっと呼んで・・・もっと抱いて・・・。」 サクライさんを横たえながら、バイブを再び挿入する。 両脚を高く抱え、ゆっくりとピストン。 「ん・・はぁ・・・あぁ・・あぁぁ・・・。」 サクライさんは毎日ジム通いをしている事もあり、年齢の割りにさほど体も崩れていない。 両脚を肩に乗せ、深く、強く腰を振ると、柔軟な体でしがみついてくる。 「もっと、もっとよ・・・あ・・ああ・・・いいわ・・・」 ふとベッドサイドの時計を見ると、もう既に延長の時間帯に入っていた。 サクライさんの要望どおり、更に激しく腰を振り、乳首を噛む。 「奥様・・・奥様・・・・」 「あぁっあっあっあっ・・・有香っ・・・!!」 ビクビクッと肩にかけた両脚を震わせ、サクライさんはベッドに沈んだ。 『有香』とはご主人の愛人の名前。 ご主人が経営している会社の女性社員だそうだ。 先日、ご主人の不倫が発覚し、三者面談となったところ、ご主人の不倫相手にときめいてしまったらしい。 結局二人は別れさせたものの、彼女のことが忘れられなくて切ない日々を過ごしているらしい。 今日は、私が『有香』になって、『奥様』に懺悔し、奉公したのだ。 「サイ・・・今日もよかったわぁ・・・ああ、すっきりした。」 「今日はサクライさんがリードなさってましたから、私はついて行くのがやっとでした。」 「嘘ばっかり。始終あなたのペースよ。あなたに出会えてよかったわ。」 「ありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。」 私はサクライさんの手にキスをした。 手は、やはり結構年齢がでるもんだな・・・。 それにしても、何だか最近気分が乗らない。 今まで感じたことのないような虚しさが、ふと胸を横切る。 花のように笑う彼女に出会ってから・・・。
■恋唄   Z □sakura (2008/08/13(Wed) 00:22:08) 出会ったのが夢だったのかも・・・と錯覚しかけたある日、いつものように携帯が鳴った。 『サイ、ヒガキ様からご指名。19時にS駅ね。』 「ヒガキ様?駅?」 覚えの無い名前。 しかも、待ち合わせが駅・・・。 大体ホテルの部屋へ直行なのに、ますます誰だか分からない。 また誰かの紹介だろうか・・・。 不審に思いながらS駅に向かった。 改札の隅で立っている女性・・・ 彼女だ。 彼女は、あの花のような笑顔で私に手を振っていた。 「み・・・美佐子さん?」 「名前、覚えていてくれたんですね、サイさんっ。」 少女のような、跳ねながらのリアクション・・・可愛い。 「一緒にお食事したり、お酒を飲んだりもできるって、クラブの方に聞いたから・・・いいですか?」 「あ、ああ。私の方は全然構わないですけど・・・料金が高くつきませんか・・・?」 思わず私がそう聞くと、美佐子さんはちょっと不思議そうな顔をして言った。 「サイさんはいつもそうやってお客さんの懐具合を心配してくださるの?優しいんですね。」 「そういう訳では・・・。」 「私は大丈夫です。エステに行ってリフレッシュするのと全く同じ事なの。サイさんとお話しすると、何だかとっても楽になれるから・・・。」 言い分は全く他のお客様と同じである。 ただ、『旦那が風俗行ったり浮気しまくってるんだから、妻が気持ちよくなったっていいじゃない』と言う意味合いだけど・・・。 仕方なく、私は美佐子さんを連れ、女性が喜びそうな隠れ家風居酒屋で食事をして、少し落ち着いたワインバーへ向かった。 ずっと他愛の無いおしゃべりが続いた。続くのである。 普段ならつまらないと思ってしまうような内容でも、つい笑ったり、突っ込んだりしてしまった。 見栄も張らず、駆け引きも無い美佐子さんといると、私の方が楽になれたような気がした。 3杯目のワインで、美佐子さんは少し酔ってきた。 おしゃべりのペースが落ち、ずっとニコニコしている。 「結構気分が良さそうですね。そろそろ帰りましょうか?」 「んー、今日は主人もいないし、娘も合宿でいないからいーの!」 目が据わっている。 完全に酔っている。 可愛い・・・。 「じゃあ、美佐子さんの家で飲みなおしますか。」 「あっ!さんせーい!!」 やっとこれで連れて帰ることが出来る・・・。 酔いつぶれてしまうと、住所さえ分からなくなるから送ろうにも送れない。 世間知らずな彼女をタクシーに乗せて、はい、さようなら、なんて出来ないから。 ようやく美佐子さんの家の前に着いた。 新しいようだけど、どっしりとした日本家屋。 思わず着物姿の美佐子さんを想像してしまった。 「はい、着きましたよ。もう遅いから私は帰りますね。」 「・・・・」 「美佐子さん?おやすみなさい・・・」 「お水・・・飲ませて・・・。」 苦しそうな顔。 もしかして・・・初めて酒に酔ったのだろうか。 仕方なく、美佐子さんを家の中へ運び、水を飲ませた。 美佐子さんは美味しそうに水を飲んでいた。 その横顔の、喉の動きが何とも色っぽくてドキッとした。 「お〜やすみ〜、サ〜イ・・・。」 名前を呼び捨てにされ、もっとドキッとした・・・が、彼女はそのまま眠り込んでしまった。 彼女は、こうして酔いつぶれてソファで眠りこけてはいけないヒト・・・。 そんな気がして、寝室を探し、彼女を担いで連れて行った。 ブラウス、スカート、ストッキング・・・ 脱がすのは仕事上得意分野。 キャミ一枚になった彼女は、私の性欲をかき立てるのに十分すぎるほど魅力的だった。 お客様に欲情した事など一度も無かった。 何よりも、プックリとして少し開いた唇に引寄せられた。 彼女の寝息が私の唇にかかる。 私は目を閉じ、人差し指をそっと美佐子さんの唇に当て、部屋を後にした。 間違ってる・・・! 帰り道、タクシーを拾う事も無く、ただ黙々と歩き続けた。 間違ってる・・・・ そう、何度も何百回も呟きながら・・・。
■恋唄   [ □sakura (2008/08/27(Wed) 23:10:20) 最近ずっと調子が悪い・・・。 ずっとイライラするし、ボーっとするし、とにかく情緒不安定だ。 人に対して腹を立てたことのあまりない私が、CMにキレている始末。 何なんだ・・・! ちゃんとした接待ができそうもなく、クラブの指名は断り続けている。 学校も、もちろん行く気がなく、水疱瘡だと嘘をついて毎日主婦向けのTV番組を見ては悪態をついていた。 “♪♪♪♪ ♪♪♪♪ インターホンが鳴った。 モニターに映っているのはさやかだった。 「菜、大丈夫なの?」 ドアを開けると、顔の半分だけを覗かせながらさやかが言った。 「何ともないけど・・・。ま、入んなよ。」 「いや、だって、水疱瘡だって聞いたから。」 「え?ああ。嘘だよ。何、警戒してんの?」 「嘘なの?私、やってないからさ、水疱瘡。伝染るとヤバイかなぁと思って。」 「じゃあ何で来るんだ?」 「だって、心配だから・・・」 少し顔を赤らめながらドアを閉める姿が、可愛いと思った。 「適当に座ってて。何か出すから。」 さやかはちょこんとソファに座り、ノートの束を出した。 「これ、もうすぐ試験だから。ちゃんと勉強してよ。」 「はいはい、ありがと。どうぞ。」 私は缶ビールとクウォーターのワインボトルを置いた。 「何、これ。どっちもお酒じゃない!」 「だって冷えてるのこれしかないんだもん。外に買い物に行くのも面倒くさくってさ〜。飲めないんだっけ?」 「の、飲めるよ!」 さやかは缶ビールを奪い取って、ゴクゴクっと勢いよく飲んだ。 「乾杯くらいしなよー。はいカンパイ。」 私がボトルをラッパ飲みすると、さやかは激しく咳き込んだ。 「ゴホッゴホッ・・・グラスに注ぐくらい・・・すればぁ?」 いちいちリアクションが面白く、久しぶりに気持ちが和んだ。 「だけど、本当に今度の試験頑張らないと、卒業できないよ。」 チビチビと缶ビールをすすりながら、真面目な顔でさやかが言った。 「ん〜、別にいいけどねぇ・・・。」 「ダメだよっ!」 大きな声に私も、さやか自身も驚いた。 「何もそんなに熱くならなくたって・・・。前から聞きたかったんだけどさ。何でそんなに心配するの?」 「だって・・・一緒に卒業・・・したいんだもん。」 さやかは消え入りそうにそう言って、またゴクっと音を立てて飲んだ。 少し酔ってきたのか、恥ずかしいのか、さやかは耳まで赤くなっていた。 当分お客も取っていない上、連日のイライラでストレスも溜まり、その上空腹にワインを流し込んだせいで、私も少し酔い始めていた。 うつむくさやかの姿が無性に可愛く思えた。 そして・・・仕掛けた。
■21085 / 恋唄   \ □投稿者/ sakura (2008/08/28(Thu) 00:00:07) 「優しいなぁ、さやかは。」 私はさやかの隣に座り直し、パラパラとノートを捲った。 「じゃ、頑張ってみるか。」 「ホント?よかった!」 さやかが嬉しそうに顔を上げた。 その瞳をじっと見つめると、またさやかは目を伏せた。 「ちょっと炭酸っぽいのも飲みたいな。さやかの、ちょっとちょうだい。」 「う、うん。」 さやかの手から缶ビールを取り、一口飲んだ。 「私のも、飲んでみる?」 「ワインのラッパ飲みはちょっとぉ〜・・・。」 さやかが笑顔になり顔を上げた瞬間、唇を塞いだ。 コクッ・・・・ 口移しに、さやかに贈ったワインが、さやかの喉を鳴らした。 ゆっくり唇を離すと、さやかは目を丸くしたまま、固まっていた。 「ごめん。・・・嫌だった?」 まだ吐息がかかるほどの至近距離。 「う・・う・・・ううん・・・。」 搾り出すようにさやかが答えた。 「び、びっくりして・・・あの・・・。」 「嫌じゃない?」 「う・・・うん・・・だけど・・・。」 また唇を塞いだ。 今度はワインの代わりに、さやかは私の舌を受け入れる。 舌と舌が絡まるとOKの合図。 すばやく左手の指先がブラウスの上から胸の突起を探る。 ブラとブラウスが妨げているにも関わらず、その突起はみるみる存在をアピールし始めた。 そして、徐々にさやかの吐息も荒くなる。 唇から耳たぶへ、首筋へ私の唇が移動すると同時に、一つ一つブラウスのボタンを外していく。 鎖骨に舌を這わせ、ブラウスの中に手を入れたとき、また消え入りそうにさやかが言った。 「ね・・・菜・・・私の事・・・好き・・・?」 私はそのまま、鎖骨に歯を立てて言った。 「もちろん。スキだよ。」 「あっ・・・!」 その声に私のスイッチが入った。 少し荒くブラを上にずらし、片方の乳首を片手でコリコリと硬くしながら、もう片方を舌先で転がす。 時々歯を立ててやると、小型犬のように甘い声で短く吠える。 さやかは荒くされるのがスキなんだ・・・。 職業柄、ついつい分析してしまう。 さやかをソファに横たえさせる。 ブラウスがはだけ、ずり上げられたブラの下に乳房が露になって、その乳首も唾液に濡れている。 自分も身に着けたりしている制服が、とても淫らに思えた。 ミニスカートから覗く太腿の若さが、とても新鮮だった。 太腿の間に手を滑らせると、その奥はもう、ショーツなど意味のないほどぐっちょりと濡れていた。 「もうこんなに濡れてる・・・。さやかって意外にエッチだね。」 「やだっ・・・何でそんな事言うのぉ・・・。」 泣きそうな顔をしながらも、私の手を拒もうとはしない。 濡れたショーツの中は、溢れていた。 下の突起を探ろうにも、ニュルニュルと滑ってしまうほど。 やっと人差し指と薬指で捕まえて、中指で擦ると、さやかはまた泣きそうな顔で身悶えする。 「あぁ・・・ああ・・・ん・・・だめ・・ぇ・・・・」 中指で下の突起を弄りながら、舌先で上の突起を転がす。 突起をギュッと人差し指と薬指で強く挟み、中指で激しく弾くと、さやかはしがみついてきた。 「あっあっあっ・・・だっだめ・・・い、いく・・・いっちゃうっ・・・!」 ピンッと両脚を伸ばし、プルプルと震わせながら、さやかは難なく果てた。 指だけでいくなんて・・・ これからが本番だよ・・・ 私の心の声が聞こえたのか、さやかは、また消え入りそうな声で言った。 「菜のも・・・ちょうだい・・・。」
■21094 / 恋唄   ] □投稿者/ sakura (2008/09/10(Wed) 00:05:51) 「んぁ〜あ、疲れたっ」 私はベッドに倒れこんだ。 時計を見ると、もう20時をまわっていた。 5,6時間、休みなくさやかと交わり続けていた事になる。 泊まりたいと強く切望するさやかを、何とか言いくるめて、やっとさっき帰ってもらった。 私よりもタフかもしれない・・・。 さやかと交わって、若い娘に溺れる親父達の気持ちが分かる気がした。 いつものお客様とは違い、肌にはハリがあり、やはり綺麗だ。 まだ熟していないところが、イケナイ事をしているようで興奮する。 私も同い年だけど、それなりに発見する事が多かった。 さやかとスポーツのようなセックスをして、今までのもやもやが晴れた気がした。 そうだ。これが私なのだ。 早速クラブに電話して、明日からまた仕事を始めることにした。 電話を切るとすぐに、インターホンが鳴った。 まさか・・・さやかっ? 恐る恐るモニターを見ると、もっと驚く人が立っていた。 「久しぶりね〜、元気だった?菜。」 大きくウエーブした長い髪に、膝上のスカートからすらっと伸びた細い足の中年女性。 思わず、お客様の名前を探してしまった。 「久しぶりだね、母さん。」 父の海外勤務に同行している母親だった。 同行といっても、その背景にあるものは家族愛でも、夫婦愛でも何でもない。 「いつ帰国したの?彼氏は?」 「いやあねぇ、そんな人いないったら。」 「んじゃ、オトモダチは?」 最初にパートナーを変えたのは母の方だった。 自分よりも10歳近く若い男と恋に堕ち、家庭を捨てるつもりだった。 でも、父の仕事では離婚すると出世ゲームから降りなくてはならず、 母の勝手を許す代わりに夫婦でい続けることを約束・・・いや、契約させた。 父も母どころか家庭に興味はなく、ただただ、自分の人生を自分の為に生きている人なのだ。 「娘の顔を見に帰ってきたんじゃないの。元気そうで何よりね。」 「オトモダチと落ち合うまでの暇つぶしもいいけど、帰ってくるなら連絡してよね。」 「自分の家に帰ってくるんだもの。別にいいじゃない。」 その声を背中で聞きながら、後ろ手にドアを閉めた。 ありがと。 さやかと母さん。 やっと自分に戻れるよ。
■21095 / 恋唄   XI □投稿者/ sakura (2008/09/10(Wed) 00:33:28) 自分に戻った私は、仕事と学業(?)を精力的にこなした。 仕事は今までサボっていた分、毎日のように指名が入った。 学校へ行けば、当然のようにさやかがくっついてくる。 どうやら、学校へ来るようになったのは、自分に会いに来てくれていると思っているらしい。 まあ、自分を取り戻せたから、自由に思っていてくれていいんだけど・・・。 「菜ー、一緒に帰ろうよ♪」 放課後を心から待っていたさやかが弾む足で教室に入ってきた。 「あー、ごめん。今日はバイトが入ってるんだよねー。」 「えー!そうなのー・・・。」 物凄く残念そう。 これほど欲望を剥き出しにしても、いやらしく見えないのは、やはり若いからだろうな。 何だかちょっと可哀想で、可愛くもある。 「ごめんねー。」 言いながら、軽くさやかにキスをした。 嬉しそうにうつむく。 もう一度キス。 今度は舌を絡めながら。 片手で腰を抱き、片手で制服の上から乳房を揉み、片目で教室の外をチェック。 ブラウスのボタンを一つだけ外し、ダイレクトに硬くなった突起を弄る。 「ん・・・だ・・・めぇ・・・誰か来ちゃう・・・。」 そう言いながらも、膝と膝を擦り合わせてもじもじし始める。 腰を抱いた手をグッと引き寄せ、今度は下の突起を目指す。 辿り着く前に、ショーツはもうぐっしょりと湿っていた。 「グチョグチョじゃん。」 「いじわるぅっ・・・」 ショーツの脇から中へ入っていき、ヘア越しにジョリジョリと突起を擦ると、さやかの息遣いが荒くなり始めた。 突起を指で摘んで、グリグリと荒く捏ねると、さやかが私の両腕にしがみついて来た。 今度は親指で包皮を引っ張り上げ、さやかの欲望と同じように剥き出しになったクリトリスを直接擦る。 「んっあっあっ・・・うぅんっ・・・はっはんっ・・」 もっと丁寧に愛撫するのが身上だけど、もう仕事まで時間がない。 更に荒々しく擦りあげると、さやかは呻き声に似た声を漏らし、立ったまま果てた。 「もっとしたい・・・。」 私に抱きついて、息を切らせながらさやかが呟いた。 若さって・・・・。
■21108 / 恋唄   XV □投稿者/ sakura (2008/09/18(Thu) 23:43:51) いつものSホテルのバーへ行くと、もうタニグチ様が座っていた。 「久しぶりね、サイ。長期休暇だったわね。」 「ご心配おかけして申し訳ありません。」 「マネージャー、旅行って言ってたけど、海外?」 「あ・・・、いえ。どこにも。ちょっと体調が・・・。」 「そう。だけど、体調が悪かったなんてあまり言わない方がいいわ。職業柄、警戒されても困るでしょう。」 「ハイ・・・。」 マネージャーも同じ事を言っていた。 病気だったなんて思われたら、一気に客足が遠のく。 ただ、タニグチ様には小細工はしたくない。 「あなたの長期休暇のせいで、ちょっと困ってるのよね。」 シャンパングラスを口に運びながら、少しニヤついてタニグチ様が言った。 「何でしょう?」 「美佐子さん。」 名前だけ言って、タニグチ様は私を凝視した。 私の心の底を探っている。 「み・・・さこさん。・・・がどうかなさったんですか?」 「彼女、酔いつぶれてしまった事、すごく気にしててね・・・。」 あの夜の感情が再び押し寄せてきて、胃の辺りが締め付けられた。 「謝りたいんだけど、クラブに電話しても休暇中だって言うし、避けられてるのかも・・・って。」 「そんな・・・。」 「私も、謝る事も避けられてる事もないって言ったんだけど。でも、相当な勇気が要ったみたいよ、あれからクラブに電話するのも。」 「・・・ハイ。」 「電話してあげてよ。これ、携帯番号。」 タニグチ様が試すように、小さな紙切れをテーブルの上に置いた。 「申し訳ないんですが・・・・。」 困ったように笑って、その紙切れをそのまま押し戻した。 「タニグチ様から言っていただけませんか?もうクラブを利用するのはやめた方がいいって・・・。」 「・・・彼女と何かあったの?」 「いえ、食事したり、お酒を飲んだり、それだけです。」 「それなのにどうして?」 「ああいう方には、手前どものクラブ、ふさわしくないと思うんです。汚れのない、というか、遊びを知らない方には・・・。」 「ま。それじゃ、私達が汚れてて遊び過ぎって事かしら。」 タニグチ様はそう言って笑いながら、私のすねの辺りをパンプスの先で蹴った。 「スミマセン。そう言う訳では・・・。ただ、私も他の方々とタイプが違って、どう扱っていいのか・・・。」 「正直ね。でも、そこまで私は面倒みきれないわ。自分でなさい。」 「・・・ハイ。」 「さ、それ飲んだら行きましょうか。」 グラスをカウンターに置くと、タニグチ様は先に席を立った。 足首の締まった、細くて長い足は年齢を感じさせない。 サイドテーブルのタバコに火をつけ、タニグチ様に渡すと、うつ伏せのまま大きく煙を吸い込み、溜息と一緒に吐き出した。 「長期休暇で充電したって感じねー。良かったわぁ。」 「ありがとうございます。タニグチ様にお褒め頂くのが一番嬉しいです。」 「久しぶりだから、今日は朝までヤってたいけど、行かなくっちゃ。」 そう言って気だるそうにベッドから起き上がると、タニグチ様はバスローブを羽織った。 「何かご予定があるんですか?」 「ええ。彼が来るの。ひと月ぶりかしら。あんまり会ってないから顔を忘れそうだったわ。」 例の元政治家かな・・・。 「聞いていいですか?」 「なあに?帰ってからもヤルのかって?」 「いえ、どれくらい付き合われてるのかなって・・・。」 「そうねぇ・・。20年は付き合ってるかしら。奥さんと同じくらいね。」 「えっ・・・・結婚したいって思わなかったんですか?」 「結婚する事に意味があるのかしら?これでも現役の頃は、政治のことでも結構相談されたのよ〜。」 そう言って、タニグチ様はバスルームへ消えてしまった。 本心だろうか。 私も、結婚や家族の意味を見出せない。 もっと話を聞いて見たい気がするが、所詮人の人生だし、無意味だ。 しかし、タニグチ様って何歳なんだろう・・・。
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